株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2020.09.25

世界に冠たる大都市圏TOKYOという成功

拝啓 東京農業を応援していただいている皆様

新卒で入った会社がデベロッパーだったというのもあるし、都市農業(親しみやすく「まちなか農業」とも呼ぶ)に携わっているので、「都市」について書いてあるものがあると思わず手に取ってしまいます。

「NATIONAL GIOGRAPHIC」の昨年4月号の特集が、“まるごと一冊 世界の都市”というもので、バックナンバーがたまたま実家に転がっていたんでページをめくりました。
「都市」って言葉を見るとついつい無視できないんですよね。

で、この真面目な世界的な雑誌が、特集の大部分を割いて「世界のメガシティ」として取り上げていたのは、ほかでもないTOKYOという街でした。
本誌のなかで米国の経済学者エドワード・グレイザーはこう指摘しています。
『都市は人類最高の発明だという。だとすればその最高の実例が東京だろう。』
『1950年代、復興が進む東京では人口が急増した。そこに成功の理由があるとグレイザーは指摘する。』

人類史において、東京というプロジェクトは成功だったのか?
へー、ほー、そうなの?
失敗だったとはいわないけど、大成功と呼ぶ人は、物心ついたときにバブルが終わっていた私たちの年代には少ないのではないかなあ。
ただ、ナショジオは東京についてこうも書いています。
人口3700万人を超す世界最大の大都市圏を形成し、世界屈指の豊かさと治安の良さ、創造性を誇る都市だ。』

んー。なるほど。
たしかに、そう書かれれば、東京はかなりポジティブだ。

ロンドンやニューヨーク、上海などいくつかの大都市に行ったことがあるけど、全体として負けていると思ったことはないし(住んでいたわけではないので根拠薄弱ですが)。
それと、東京は創造性が低い都市だと思っている人もいるだろうけど、必ずしもそうではないという点は私も同感です。東京で生まれているモノゴトはたくさんあります。
東京人は謙虚なのですね。

東京農業活性化ベンチャーを自称している(謙虚とはいえない)私たちの活動は、もはや東京というワードは切っても切り離せない。だから、東京が注目されるのは、素直にうれしいものです。
ともすると、当社は「東京」で「農業」に関わっているので、大都市に対してアンチテーゼを投げかけているように思われたりもするのですが、そういうことでもないんですね。
改善すべきところはあるけれど、都市というもの自体はけっこう好きです。(べつに都市開発が嫌いになってデベロッパーを辞めたわけではない。)

「好きだからこそ、もっとよい場所にしたい。」
そういう感覚が、当社の理念に近いです。
まあ、現代は、どちらかといえば田舎の方が見直されていますけどね。

TOKYOがグローバルにもっと注目されてくれたら、そこに”農業”という要素を投げ込んでいるエマリコも全世界から注目されるのだろうけど、とか冗談半分に思ったりもします。

ところで、ナショジオが提起したポジティブな発明としての東京とは、巨大な調理鍋だということを意味するのでしょう。多様な人々が交わることで新しい何かが刻々と生まれている、そういう意味です。
(ここで言う新しい何かっていうのは、経済活性化につながるアイデアだけを指していません。身近な課題の解決だったり、芸術や文化だったりもする点に注意したい。新しい文化は大都市で生まれやすいでしょう。)

その調理鍋の火力は、人口の絶対数や密度にある程度依存するでしょう。
また、その性能を上げるポイントは、素材それぞれの多様性を認めるということでしょう。多様性を認める社会は、より多くの交流を生むから、より多くの新しいモノゴトを生み出すことになります。
で、これは別の回で書きますが、東京の多様性はどうかといえば、これも捨てたものじゃないと私は思っています。

話を戻すと、これから東京という大きな調理鍋をどうしていくのか、それはすばらしく重要なトピックスです。
どうも今般の新型コロナで、東京の今後への、拙速な考えがはびこっています。
そこには、おそらくは、東京は総じて変えるべき対象だという了解がベースにあるように思えます。つまり、よくいえば謙虚だが、正確な自己評価ができていない。

新型コロナを契機に変えるべきものはあるでしょう。
けれど、東京という都市も捨てたものではないという観点に立てば、「変えるべきもの」のほかに、「変えないでおくべきもの」についての議論もあってしかるべきです。

謙虚すぎると本当のところを見失いますよ!

これは「日本の農業」も同じです。
農業って、改善すべき産業だって言われて久しいですし、私もそういう気持ちがないわけではないですけど、じゃあ、ほかの平均的な産業に比べて特段に悪いかっていうとどうだろう?って、いくつかの産業を経験してきて思います。
改善すべき点があるのは確かですが、それは他の産業も同じです。

なんとなくネガティブなイメージが先行している。

農家の高齢化が進んでいる、なるほど、それは事実ですが、日本全体の高齢化が進んでいるのだから、農業の高齢化を特段にフューチャーすべきなのかは正直、疑問です。
(このブログでも、農業の高齢化を解決すべきだ、と書いたことはありません。)
そもそも、ほかの産業と農業の決定的な違いがあります。
定年制がないこと、です。

定年制がなければ、(1)日本全体の高齢化とともに当該産業の高齢化が進行する、(2)ほかの産業から定年になった人たちが流入する、(3)ほかの産業より相対的に高齢化が進んでいるように見える、のは当然のことです。
いや、むしろ、定年制がない産業であることは先進的とさえ言えるんじゃないでしょうか?
(そして、農業は儲かっていないじゃないかという指摘には、異論をどこかで掲せたいと思います。少なくとも水稲とほかの農業は分けて考えないといけません。)

というわけで。
東京という都市も、農業も、何でもそうだけど、改善すべきところはあれど、過小評価すると本質を見失う。
私はいつもそう思っています。

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菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。国立市商工会理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度)。

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