株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2021.06.22

街に必須な、「若者・よそ者・ばか者」ともう一人の人物

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背景 東京農業を応援いただいている皆様

写真は「くにたち村酒場」と「Craft! KUNITA-CHIKA」が地下に入居している国立せきやビルです。
先日、ビルのオーナーである関喜一さん(株式会社せきや代表取締役)の訃報に接しました。

国立の街づくりにおいて、たいへん重要な貢献をされてきた方を失って、悲しい気持ちに沈んでいる方も多いと思います。私自身、もとよりそうです。エマリコくにたちほど、せきやさんに支えられている会社はなかったのですから。
ビルの大家さんであるだけでなく、お酒の仕入先であり(せきやさんは明治から続く酒販店でもある)、せきやがスポンサードしている地域誌「国立歩記」でもお世話になり。コロナ禍ではすぐに家賃を減額していただき。

2018年に「Craft! KUNITA-CHIKA」が誕生したときのこと。
「くにたち村酒場」のある国立せきやビルの地下フロアが全面改装され、すぐ隣に別のテナントスペースができると耳にしました。もし当社が入居するならビールのお店だなと思っていたところ、なんの前打ち合わせもなかったのに、関さんが作っていたパースの看板にも「BEER」の文字が。これはやるしかないな、と。

そうしてクラフトビール専門飲食店を当社がオープンさせた2年後となる昨年、せきやさんのプロジェクトとして、地元のビール醸造所「くにたちブルワリー」(通称:くにブル)がスタートしました。
波長が合うと言っては大先輩に失礼な表現かもしれませんが、エマリコくにたちとせきやさんはそういう関係でやってきました。

街づくりには3つの「者」が必要だ、という格言があります。若者、よそ者、ばか者です。
私自身は、国立の街で育ったわけではなく、たまたま大学がそこにあったということで国立に来たよそ者です。
ぼちぼち若者でもないですけども、まあ、この3つの要素を兼ね備えている(いた)と自負しています。

しかし、街づくりはそれだけでは前に進まないのですね。
よい街を作るための必須要素。
それは、志のある大家さん・地主さんです。
あるいは、若者・よそ者・ばか者を受け入れる度量のある地主さんです。
これは強調しても強調しすぎることはないです。

街づくりで空き店舗が問題になるときに、自治体の政策として、空き店舗を放置している土地ないし建物に対して税金を重くする方法がよく議論されます。
しかし、もし地主さんがみんな街づくりに関心のある人であれば、そのような政策はそもそも必要ないわけです。

街づくりは、「まちづくり」とひらがなで表記することが最近は圧倒的に多く、これは私見では街づくりにおいてハード面よりソフト面が重視されるようになってきたことが背景にあると考えています。
しかし、いかに街にとってソフトが大事であろうと、良いハードなくして街づくりはありえない。

たとえば、当社が展開する親子向け収穫体験「農いく!」はソフト事業です。しかし、これは田畑というハードがなければ存在しえない。

そして、ハードに魂を込められるのは、根本的には大家さん・地主さんしかいないのです。

実のところ、エマリコくにたちは、国立市以外でも、地主さんのビジョンを実現するという仕事をしている側面があります。地主さんの思いをビジネスという現実の形に変換する仕事、という意味です。

とまれ、中央線の国立駅が開業する前から今の場所に店舗を構えていたという歴史を持つせきやさん。そんな会社とこれまで歩調を合わせてきたことを本当に光栄に思っています。

緊急事態宣言が開けて、今日からCraft! KUNITA-CHIKAは営業を再開しました。
そのタップには「くにたちブルワリー」のビールが繋がっています。

いま繋がっているのは、「たまらん坂ヘイジーIPA」。
たまらん坂は、ブルワリーのあるすぐ近く、日本を代表するロックスター忌野清志郎も愛したという場所です。

ちなみに、同じヘイジーIPAのシリーズには、「るつぼヘイジーIPA」もあります。(ヘイジーは濁っているという意味。)

るつぼの由来は、次のようなものとのこと。
『鋳物師が金属を融かして混ぜ合わせる炉のことを「るつぼ」といいます。……その昔、国立市には江戸時代から続く鋳物師の家が3軒ありました。関家、矢澤家、森久保家。そのうちの1軒がSEKIYA TAP STANDを立ち上げた国立市で100年続く酒屋「せきや」のルーツです。……仕込釜や発酵タンクに大量のホップを漬け込んで香りを融か し合わせるHazy IPAですが、僕の中で金属を炉の中で融合させるイメージと一致しました。 』
(文中の「僕」は、醸造長の斯波克幸さん。谷保の近く、府中市西府地区の出身。 出所:https://my-beers.com/beers/1950 )

そんなクラフトビールを今宵、ちびちびと飲みながら。

街づくりは、地域の伝統や産業と、若者・よそ者・ばか者が融合することで出来上がるもの。
関さんは、そんな融合がおきるハードを作られていたのだなあ、としみじみと思い返されます。

恩返しをすることを誓いつつ。

献杯。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。国立市商工会理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度)。

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