株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2020.10.26

スウィングしなけりゃ意味がない

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

唐突ですが、健康ってなんでしょう?

このあいだ本屋さんをブラブラしていて、あらためて”健康本”の棚の広さにびっくりしました。
みなさんはいつもの食事のときに健康を気にしていますか?

こんなことを言ったら、直売所あるいは八百屋の店主としては相当に珍しがられると思うんですけど、現代は食べ物に健康を求めすぎているように思います。
いわゆる”健康本”は根拠が怪しいものも多いですし。

もちろん、食事は健康のためにも大事なものです。
しかし、この「健康のためにも」の、助詞「も」が大事で、健康のために食べているとしたらそれは本質を欠くように思います。

エマリコが掲げているミッションは、ひとつは「まちなか農業を次代につなぐ」ことですが、もうひとつありまして、「楽しい食卓のサポート」というのがそれです。
「楽しい」。
「健康な」とか「安心・安全な」とかではない。
これは創業以来、そうなんですね。

それは、古今東西、食事の一番重要な機能は「楽しさ」にあると私は考えているからです。

健康は大事なんですが、それを真面目にやりすぎると楽しさを失ってしまいます。
健康というのは人生を豊かにするツールとか土台だと思うんですが、それ自体が人生の目的ではないわけで。

(子ども向けの食育もいろいろな活動が世の中ありますが、私はまずはなにより食卓を楽しむことを教えるべきじゃないかな、と考えています。)

で、最近、とてもいいなあ、と思ったコンテンツがふたつありまして。

ひとつは、You Tubeの『料理研究家リョウジのバズレシピ』というチャンネルで、載っているレシピがなかなか美味いのはもちろんなんですが、料理しているなかでリョウジさんが飲んじゃうんですな。
料理が出来上がってからじゃなくて、最初から、です。
あるときはチューハイを。あるときはビールを。にっこりしながら。
その不真面目さがいい。なんか新鮮。そして、楽しい。

もうひとつ、いいなと思ったコンテンツは、もっと不真面目だと思われるかもしれないですが、滝沢カレンさんのレシピ本『カレンの台所』です。テレビのバラエティでも独特の表現で有名ですが……

「お醤油を全員に気づかれるくらいの量」
「あんだけ丸々と成長したというのに見るも耐えられない形にしていきます」(原文ママ)
「パサパサの鶏肉をおにぎりを一握りの気持ちで、「行ってこい」の後押しで油へ。
すぐさま何かしらの反応を見せたら、あ、楽しくやってるな、と見過ごしてあげてください。
何の反応もしてくれなかったら一旦取り出してください。油がまだ170度ではありませんそれは。」

ずっとこんな感じで笑っちゃうんですが、レシピ本として何がすごいって、いっさいの分量が書いてない。(厳密には上のような調子でいちおう書いてはあることは書いてある。)
とっても潔くて、その文章には爽やかささえ感じます。

こうしたコンテンツが多少なりともバズっているのはアンチテーゼなのかなあ、と。食の世界がなんだか窮屈なことになっていることに対する。
健康にはこれが最適で、調味料はコレコレの量で……。
まるで音階とリズムに律儀すぎる音楽のようです。

音楽の本質は、正しい音程じゃなくって、音を楽しむことですよね。
スウィングしなけりゃ意味がない――食も同じじゃないでしょうか。

食卓の本質は楽しさに宿っていると、私は思います。

みなさんはいかがですか?

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菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。国立市商工会理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度)。

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