株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2018.09.01

同じ釜を飯を食いたい、という経路依存性

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

先日、日経ビジネスオンラインで、孫泰蔵氏のたいへん興味深いインタビューが載っていた。

https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/16/082900029/082900001/?P=1

全編は元ソースをあたっていただくとして、経路依存性を疑え、つまり、今までこうだったから、次もそうだろうという考え方をしていないか、常に疑ってかかれと言う。
で、オフィスを借りるということをやめてしまったのだそうだ。つまりオフィスの賃貸契約を更新しなかった。
さすが……笑。

エマリコくにたちでも、赤坂見附に拠点ができたので、Messengerのビデオ通話機能で会議をすることがあるけど、そういう風にどこにいても会議には参加できるようになってきている。
孫氏の会社では、「オフィススペースって必要かな?」とメンバーと議論した結果、「いらないね」となったのだそう。

で、孫氏は理想として、「「社員」という雇用の仕方もなくしたいと思っています。会社と個人の関係を雇用ではなく対等な契約関係で成立させたいんです。個人が得意でやりたいプロジェクトと、会社が求める役割が一致したら、都度契約関係を結んでいく」と述べている。

これはすごく現代的だなあと思うと同時に、考えてみたら、国立の谷保の「くにたち はたけんぼ」周りのコミュニティってこんな感じかなあとも思った。ローカル・マニアックな話ですけども。
多士済々の人が集まっているけど、それぞれは価値観とかやりたいことが多かれ少なかれ異なっていて、でも何かプロジェクトがあるとそれに興味を持つ人が集合する。
ゆるいつながりだけど、ちゃんと支え合いもあるというような。理想的なコミュニティのあり方だと思う。

一方で、古い人間なのかもしれないけど、きちんと長期的な雇用を作りだし、会社という枠組みのなかで社員を守っていく、そういったこと(つまり古き良き日本企業がやってきたこと)をエマリコくにたちはやっていきたいと思っている。
会社と個人の関係はもっと対等になってもいいと僕も思う。だけど、みんながみんな、仕事の内容をベースに契約を逐一結ぶほど強い人間かと言われればそうではない。
短い期間で契約する職業の典型例はプロ野球選手やJリーガーだけど、成果がでなければ即減俸、あるいはクビになる。会社と個人が対等な状況では、それを「クビ」とは呼ばないわけだけど、仕事がなくなるのは同じである。
そんな風に成果がマストであったり、変化にさらされた状況に耐えうる人間はそんなに多くないと思う。

うちもベンチャー企業だから、仕事の内容に急激な変化を求めることはある。けど、それはできるかぎり雇用を守るという暗黙の了解があってのことである。

そしてやっぱり、同じ釜の飯を食うというけど、そういうことが安心感を生んだりもする。それはビデオチャットではできない。いまのところは。
で、僕自身の経営者としての価値観の大本は、安心して仕事のできる会社を作りたいというところにある。
エマリコには「同じ釜の飯を食べる」象徴として、半年に1回、全社スタッフ参加のパーティをやっていて、それは月例の部門長会議以上に大事な行事である。

孫氏は、テクノロジーが進めば「同じ釜の飯を食う」ことの意義はなくなると言うかもしれない。

それを前提としているのは、確かに、経路依存性ということかもしれない。

けど、まあ、エマリコくにたちの直売所や飲食店というビジネス自体が、食べるという経験を他人と同時に共有することをベースに成り立っているわけで。もし「同じ釜の飯を食う」ことに意味がなくなる世の中になるなら、会社の商売自体がいらないってことで、それが経路依存かどうなのかを考えても栓ないことである。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。第3次国立市農業振興計画審議会委員(2016年)。

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