株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2017.04.11

オーガニックと鮮度~小売店のこと

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

先月はじめのことになりますが。麻布十番にできました、業界注目の「ビオセボン」。見てまいりました。

フランスのオーガニックスーパーで、日本ではイオンとの合弁で経営しているそうです。

写真はないんですが、インターネットのニュースでも報道されているのでぜひご覧ください。

麻布!おしゃれ!なんか外国っぽい!、というお店です。

こちら、JAS有機のものがかなりそろっています。日本では、ひとことにオーガニックスーパーと言っても、特別栽培や栽培期間中農薬不使用程度で、有機栽培でないものが多い店もあります。ビオセボンでは、全部ではないですが、多くがJAS有機でした。(JAS有機が本来的な意味での有機かと言うと、それも議論のあるところですが。)

まあ、オーガニック専門のスーパー自体は新しいコンセプトではありません。

しかし、これだけ日本全国にJAS有機で野菜を作れる農家さんが増えてきたのに、オーガニックのスーパーがあまり広がらないのは、なぜなのか。

もちろん、値段が高いというのはあるでしょう。しかし、高くても売れているものは売れている。売れていない理由として「値段」は思考停止です。

意外と触れられないですが、大きな要因のひとつは、「鮮度」だと私は思っています。

青果店は回転が命。しかし、オーガニックスーパーは客数より客単価で勝負していることが多く、回転しない。おのずと鮮度が落ちてしまいます。安全だから、理性(頭)は満足するけど、感覚(舌)が満足しないのではないかと。

これは一般論なので、すべてのお店がそうではないのですが、有機をうたうお店は鮮度をあまり重視していないように見えます。有機栽培の方が慣行栽培より栄養価が高い、という説もあるものの、鮮度が落ちれば栄養価も落ちるので意味がない。

エマリコくにたちのスタイルは、有機栽培にこだわっていません。もちろん安心なものを届けたいと思っていますし、農薬を使っていない商品も実は多いです。ただ、それ以上に、シャキシャキとした、美味しくて元気な野菜を食べてほしい。

農薬や化学肥料を減らすのはとても大事。でも、それよりも、もっと大切なことがある。

こう明言することは、この業界では勇気のいることなんですが。

そういう信念で野菜を販売させていただいています。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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