株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2018.03.14

伝統のみょうがたけを見てきました!

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拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

ときおり、今のところ取引をしていない農家さんのところへも見学にうかがうのですが、先日は「早稲田みょうが」を作っている練馬区の井之口農園さんにお邪魔してきました。

井之口農園さんは西武線石神井公園駅から徒歩5分ほどのところにある、まさに典型的な「まちなか農業」の農家さんです。

井之口農園さんは、キャベツなどを生産するかたわら、東京の伝統野菜(江戸東京野菜)のひとつ早稲田みょうがを作っている、都内でも稀有な農家さんです。

早稲田みょうがとは?
その名の通り、かつて早稲田の近辺で栽培されていたみょうがです。
早稲田という地名からも分かる通り、いまや大都市東京の一部となっている早稲田大学があったあたりも、昔は田んぼや畑だったわけですね。

井之口さんみずから、江戸東京野菜の研究家大竹道茂さんや学生さんと一緒に早稲田地域を捜索、昔から栽培されている伝統種を探し出したのだそうです。
それを移植して増やしたのが、井之口農園の早稲田みょうがです。

そして、井之口農園のみょうがのもうひとつのポイントは、この時期に「みょうがたけ」として出荷している、ということです。

私、不勉強で「みょうがたけ」を知りませんでした。

数十年前までは、春を告げる野菜として、八百屋さんでも普通に並んでいる野菜だったそうです。普段目にする、パック売りされているみょうがは花です。みょうがの子、と呼ばれます。一方、みょうがだけは土中の根っこから生えてきた芽を軟白栽培したものです。

井之口農園では、ハウス内に1メートルほどの穴を掘り、そのなかで栽培しています。
井之口農園では10年ほど前までは、伝統野菜でない一般的なみょうがたけを栽培していたということで、そのときのノウハウがいま再び活きているのだそうです。

陽があたると色が出てきて固くなってしまうのでこのような栽培形態なのですが、とても手のかかる野菜と言えるでしょう。

しかし、味わいはその苦労を上回るものがあります!

上品な香り、シャキシャキとした食感があります。そして色合いが春らしくてキレイ!
都心の超高名なフランス料理店でも使われているということです。

みょうがの子と比べて、繊細な香りなので白ワインとも相性がよさそうです。
もちろん、ビール、日本酒もばっちりでしょう。

昔は、春になると旬のカツオにみょうがたけを合わせて食し、秋になると戻りカツオとみょうがの子を合わせて食すのが、江戸っ子の粋な食文化だったということです。

古くて新しい東京の食文化として、「早稲田みょうがたけ」があらためて定着する日も来るかもしれません。

 

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菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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