株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2019.01.25

直売所のいろどり、そのみなもと

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

東京農業って、商店街に似ているんです。

私、学生時代に商店街の活性化に携わっていて、学生ながらに空き店舗でカフェをやったり市民教室をやったりしていたんですけど、商店街という場所が面白かった。
ひとことで言えば、その多様性ですね。

商店主さんは性格もバックグラウンドも本当に多様で、それがお店の個性になっていて、それぞれに地域の消費者がファンとして付いている。
商店主さんが多様なのは、人間が十人十色であるからには当然のことなんですけどね。

大型の商業施設も楽しいですけど、やっぱり個人の色が出ているお店は捨てがたい(といいつつ、このブログはスタバで書いてます笑)。
チェーン店と違って、なんというか、店主の魂が籠りますから。

このあいだ、『東京農村』で開催したイベント(東京農サロン)でWEBサイト『くにたちあぐりッポ』の特集ページの話をしたんです。
『くにたちあぐりっポ』は現在更新が止まっていますが市民ライターが書いたサイトで、特集ページは「そうだ、谷保に行こう」というシリーズものなんですけども、これが29回分あります。
で、ぜんぶ違う内容になっていて、それぞれが深い。

ほうれん草、トマト、なす、ブロッコリーといった国立の農家さんが得意とする作物の話はもちろんのこと、梨も採れる、伝統野菜ののらぼう菜も採れる、はちみつもある、朝顔もある、お米もある……。
http://kunitachi-agri.jp/gotoyaho/

このバックナンバーを眺めていると、商店街のお店を歩いているのと同じような感覚に囚われます。

店主たる農家さんは、好き好きに、自分の性格や能力にあったものを作って市民に提供しています。

国立に限らず、東京の農業は基本的にそういう形態です。
農協による共同選別・共同出荷が全くないか、かなり少ないので、各々の農家さんの工夫が進んでいくのです。

私は東京を「日本一多様な農業地域」だと呼んでいます。

日野には鶏もいるし牛もいます。国分寺ではお茶も作っています。

多様であることの弱点もやっぱりあります。その多くは商店街が衰退してしまう理由に重なりますが、それはまた別の機会に述べたいと思います。

いずれにしても、私には、商売のアウトプットである野菜や果物が個の表現となっているのが面白くて仕方がない。それぞれが個人の作品で、それを食すことができる。
スターバックスラテはかなり美味しいけど、個人の作品じゃあない。

商店街のなかでも、小さな酒場が集まっている路地裏とか私はとくに好きなんですが、そこは人生と人生が交錯する空間です。
明も暗も。酸いも甘いも。
人間が息づく空気がある。だから、味がある。

そして、直売所もまたそういう空間なんだと、私は思っています。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。第3次国立市農業振興計画審議会委員(2016年)。

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