株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2021.03.29

育ってきた環境が違うから。~セロリのはなし

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

東京の農業は多様性に富んでいるだということを、このブログでは何度か書いています。
野菜農家の経営は、全体的には少量多品目に移行しているのですが、しかし市場出荷をメインとして多量小品目の農家さんもいます。今回はそのなかでも「セロリ」のお話。
(ぜひSMAPの”セロリ”を口ずさみながらお読みください。)

府中の古川常雄さんは、セロリをメインに栽培しています。セロリ用のハウスは計4棟。

ユーミンの「中央フリーウェイ」で歌われた、”右に見える競馬場”と”左に見えるビール工場”のすぐ近くです。
(すみません、こっちを口ずさんでいただいてもいいです。世代によって……)

古川さんの畑こよみは、冬に種を撒き、3月終わりから4月いっぱい収穫します。
収穫時期は、多い日は1日に200株出荷するそうです。
(株ひとつで、ずっしりと重いです。スーパーで袋に入って売っているセロリは株を細かく分けたものです。200株は、スーパーの袋だと1500袋くらいになります。)
メインの卸先は、青果市場である多摩青果(国立市)。市場の相場の高いときを狙って栽培します。

その市場向けのセロリのごく一部を、「しゅんかしゅんか」に分けていただいています。

セロリは栽培の難易度が比較的高い野菜で、なんといっても水がものすごく必要です。
1株につき、1日当たり1~2リットルをあげます。

今回お話をうかがって興味深かったのは、水をたくさんあげないとうまく育たないくせに、土の水はけはある程度必要なのだそうです。そのため、古川さんは畑を高うねにしています。
水をたっぷり欲しがるのに、土には水はけを求めるって、セロリはぜいたくなヤツですね。

水をたっぷりあげないと成長が弱まるだけでなく、食感も筋張ってしまうのだそうです。

ちなみに、品種は「コーネル」という品種。
色が薄く、香りのクセも少ないタイプです。なので、生食に向いています。もうバリバリいけちゃう。
古川さんのところでは、ハウス育ちで水をたっぷりあげるので、さらに香りが淡くなり、食感も柔らかくなります。

セロリには、「コーネル」と「トップセラー」という2大品種がありまして、トップセラーの方はしっかりとした香りと味わいで、緑が濃く、より固い。
西洋料理では、セロリは煮込んで使うことが多いので、トップセラーの方が向いているみたいです。

当社には、立川の農家さんから、露地のセロリが入荷することがあります。
こちらはトップセラーで、しかも露地、つまりワイルドな育ち。
だから、香りは強く(セロリ好きにはたまらないが、クセがあるともいえる)、緑色も濃くなります。

セロリに限らず、一般的に、野菜はハウスで育てたほうが柔らかく、色が薄い品物になります。露地の方が、その野菜の特徴がはっきりと出たものになります。

どっちがいいということではないですが、まさに歌詞通りに、”育ってきた環境が違うから~♪”、差が生まれるわけですね。
じつに面白いです。

そんな古川さんのセロリは、4月から店頭に並びます。
セロリを典型とする香り系の野菜は、鮮度が高いとぜんぜん美味しさが違うんです!
4月しか味わえない貴重な味です。
ぜひお試しください。

そして、東京農業には市場出し専門の農家さんもまだまだいる(そして経営がじゅうぶんに成立する!)ことも、ぜひ頭の片隅に置いていただいたらと思います。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。国立市商工会理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度)。

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