株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2021.04.19

「能動的住めば都」のススメ

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

私たちは、主に多摩エリア中央部の4市=国立・国分寺・立川・日野=で活動している。
このブログをご覧の方がどこにお住まいかは把握していないけど、JR中央線沿線のこのエリアについて、多くの方は比較的よいイメージを持っているかもしれない。
しかし、どんな街でもネガティブな要素はたくさんある。課題山積だ。

たとえば、人口減が予想されるのに旧態然とした都市計画や低い緑被率※、低い自給率。そして、希薄な地域コミュニティ。
地域コミュニティが希薄だから、誰かがピンチになったときに気づくことができず、結果、適切な資源がそこに投入されない。

地域コミュニティの希薄化は、このエリアの産業構造とも密接な関係にある。

産業、つまり何がこの街に”外貨”をもたらしているのか?と考えてみれば、1次産業や2次産業は盛んではなく、サラリーマンが「外貨」を稼いできているわけである。

つまり、ベッドタウンであることが、この地域の経済の幹だ。
ベッドタウン経済では、つねに新しい住人の登場が必要になる。サラリーマンは転職や異動で頻繁にいなくなるし、高齢になると外貨を稼がなくなってしまうからである。

そうすると、おのずと新しいマンションや戸建を建てる必要があるが、景観や緑被率との難しいバランスという課題が生まれる。(本当は空き家を活用すべきだが、適切な解はまだない。)
また、古くなった団地を建て替えにも取り組まなくてはいけない。
こうした課題はベッドタウン経済の必然だ。

このエリアの人口動態は、毎年6~7%が入れ替わる。
十数年で総入れ替えになる計算だ。

つまり、このエリアは、新しい住人をつねに抱えている。
新しい住人が良い街だなと思ってくれていればいいのだが、どうだろうか?

ときに、昨年の夏から、『クルミド大学野菜学部』という取り組みをクルミドコーヒー店主の影山知明さんと始めた。
どんなことをしているのか、一言で言うのは難しいのだけど、地元の農家さんを巡りながら、野菜や食べ物や地域について考えている。
メンバーが10名ほどいるのだが、とても仲が良くて、まさに良質なコミュニティになっている。
正直、予想以上だった。

どうしてそうなったかと言えば、メンバーの人格もさることながら、みんなが積極的に何かを得ようとしているということなのだと思う。
仲間を作るということと、地域を知るということについて、つねに積極的なのである。

「住めば都」ということわざがあるが、じつに受動的な印象を受ける。
だが、能動的に動くことで住んでいる環境を変化させることだってできる。
『クルミド大学野菜学部』のような取り組みに参加することは、その一つの形だと思う。

しかし、これだけ地域コミュニティが希薄化していると、能動的に動こうといっても、そのきっかけすらないということもあるだろう。

とすれば、自慢ではないが、地域とのつながりだけは自信のあるエマリコくにたちには、地域へのゲートを作る役割を担うことが期待される。

ベッドタウンの住民はつねに入れ替わるが、私たちが付き合っている農家さんは先祖代々この地域に根を張っている。
とすれば、旧住民と新住民をつなぐのが私たちの役割だと整理することもできるだろう。

2019年秋に『農いく!』、2020年夏に『クルミド大学野菜学部』を開始したのだが、今年はまた新たな体験型の企画を用意しているので、ご期待ください。
それが「能動的住めば都」の一助となれば、幸いである。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。国立市商工会理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度)。

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