株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2018.09.23

一石三鳥、三鷹の農園

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

先日、三鷹市の野崎にある吉野農園に行ってまいりました。
武蔵境の駅からバスに乗ること15分。野崎2丁目で下車。
このあたりは吉野さんが多くてちょっと迷いました。。。
今回訪問させていただいたのは、吉野崇弘さんの畑です。

吉野農園は、キウイフルーツを主力商品のひとつにしている農園です。
東京農業関係者には周知のことですが、三鷹では街をあげてキウイフルーツの生産に取り組んでいます。

吉野さんの畑の面白いところ。それは、キウイフルーツの棚下で、鶏を飼っているということです。
必然的にそこで生産される卵は平飼い鶏の卵、ということになります。都内では貴重です。
一般的には棚下は「デッドスペース」になってしまっていますが、有効に活用しているのです。

全部で200羽ほどもいるそうですが、彼ら、もとい彼女ら(当り前ですが全部メス)は、棚下を好き勝手にウロウロしています。卵をそこらじゅうに産んでしまうのでは、と不安になりますが、夜になるとちゃんと小屋のなかに勝手に戻り、卵も小屋のなかで産むのだそうです。

このキウイと養鶏のダブル経営のいいところは、まず(1)鶏が草を食べてくれるところ。それが20数年前に養鶏を導入したきっかけなのだそう。さらに、(2)鶏には地面を掘る習性があるので土がやわらかくなり、鶏糞はキウイや野菜の畑の肥料になること。
一方で、(3)鶏たちにとっては、キウイの葉や枝が日陰を作ってくれて、のびのびとしたよい環境が生まれます。

吉野農園は庭先直売もありますが、野菜と一緒に卵を売っているので、差別化もできていると思います。

まさに一石三鷹、もとい一石三鳥のキウイと養鶏のダブル経営。
これをもう20年以上前から続けているということですから、東京の農業はじつに奥深いです。

ちなみに、キウイは様々な品種がありますが、吉野農園ではしっかりとした食感で保存のきく品種ヘイワードの1本勝負。主にお歳暮などの発送が主販路なのだそうです。

以下、追記。
別の日に、国立市の養蜂家・飯塚るみさんの「国立養蜂」の圃場を訪ねました。
元気にたくさんのミツバチが飛び回っていましたが、ここもまちがいなく東京です。
「国立養蜂」はコンスタントにハチミツを生産・出荷していて、じつはモンドセレクションも受賞しています。

ミツバチがいると受粉によって野菜の着果がよくなるということなので、これも一石二鳥と言えるかもしれません。

奥深く多様な東京農業、これからも当ブログで伝えていければと思います。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。一般社団法人MURA理事。東京都オリジナル品種普及対策検討会委員(2019年度〜2021年度)。

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