株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2019.07.16

根本の揺らぎを楽しむ時代

拝啓 東京農業を応援いただいている皆様

さいきん注目している技術は、なんといっても自動運転です。
『ドライバーレス革命』(ホッド・リプソン、メルバ・カーマン著、山田美明訳)を読んだんですが、とっても面白い。
たとえば、一般的に自動車は多くの時間、止まっているのだそうです。(ある統計によれば廃車になるまで95%の時間静止している。)つまり働いていない。なので、自動運転で、好きな時に好きな場所に車が呼べるとすれば社会全体の車の稼働率が上がり、駐車場が相当数少なくて済むようになるそうです。メルボルンなどは駐車場が物凄い面積を街のなかで占有している(なんと78%!)そうで、それがいらないとなるとまちづくりの考え方から根本から変わってくる。そのほかに渋滞や交通事故が圧倒的に少なくなるなど、社会のメリットは計り知れない。
まあ、自動車メーカーにとっては(私の弟も勤めてますが)とてつもない荒波の時代になるやもしれません。
いや、当社も自社物流を持つ流通業なので、他人事ではありませんね。

前にこのブログでも書いたんですが、「世の中の流れが速い時代になっている」という言説はマユツバだと私は思っています。「さいきんの若者は、うんぬん」という年寄りの言葉が江戸時代の書物にもみられるように、「世の中の流れが速くなっている」という言説もきっと大昔からあったに違いありません。

もっとも、中国やインドをはじめとして技術水準の高い国が増えれば、それだけ単純に発明の数は増えるので、事実としてスピーディになっている部分はあるだろうとは思います。
ただ、「世の中の流れ」という靄のような話をもっともらしく語る輩には気を付けなくてはいけないし、どの時代であっても凡人がそれに完全にキャッチアップすることはどだい無理です。
大きな変化の一方で不変なこともあるし、揺り戻しが起こることもある。どちらかというと、それを見逃さないようにしたい。

揺り戻しの例としては、『日経ビジネス』の先日の特集は「再考・持たざる経営」でした。
持たないことが是とされはじめたのは私が大学の経営学科にいたころだと思いますが、今は逆に、在庫や不動産を持つことのメリットが見直されているということです。

こうしたビジネスモデルや技術の揺り戻しだけでなく、人間には底流にある価値観とか動かない哲学があるように思います。世の中の変化はしっかり見ながらも、フォーカスはそっちにしたい、私はそう思っています。

しかし、その一方で、しみじみと思いもします。人間の価値観とか「人間そのもの」を考える面白い時代に生まれたものだなあ、と。
AI、BI(ベーシック・インカム)、VR、仮想通貨、遺伝子技術。
これまでの概念を取り払う必要があるかもしれない(そうでないかもしれない)ものばかり。
先ほど述べたように、流通業としては自動運転の技術は要チェック。
また、食品を扱う者としては、「培養肉」の技術も無縁ではいられないでしょう。現時点では生理的に気持ち悪いですが、畜産から生じる環境問題や飢餓の問題を解決できるとするなら無視できないことです。しかし、これを食すかどうかは、どこか人間の根本に関わるような気が何となくします。

こうした新しい技術や概念は、私たちが相対している日常の消費行動にどのような変化が起こすでしょうか。今から興味深々です。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。第3次国立市農業振興計画審議会委員(2016年)。

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