株式会社エマリコくにたち

拝啓、うまい!に背景あり

社長のBLOG

2019.04.29

新しい風にふかれて

拝啓 東京農業を応援いただいている皆さま

あと2日で「令和」ですね。

前々回のブログで、社内の人事を少しばかりシャッフルしようかな、と書きましたが、それから約1か月。
早くもいい影響が出てきているように思っています。
この4月から産休・育休から復帰したスタッフもいて、新生エマリコくにたち、という感があります。

もちろん、知らない現場に行ったり、知らない人と新しく関係を築いたりしなくてはならないので、困惑もあるでしょう。
でも、それを補って余りあるよい効果が出てくるだろうと予感しています。

新しい風、というのはどの組織、あるいはどの産業にも必要。
まちづくりの格言に、まちづくりに必要なのは「若者、よそ者、ばか者」だというのもありますね。

先日、若くして小平市で新規就農した大原賢士さんの畑にお邪魔してきました。
小平の天神町は、青梅街道に沿って短冊状に土地が分かれています。これは江戸時代に玉川上水とともに切り開かれた農地の形で、東京農業では典型的です。

大原さんは瑞穂町などで農業の研修ののち就農。今年はここでジャガイモやズッキーニ、トウモロコシなど少量多品目で露地野菜を育てる予定だということです。

 

さて、この場所は小平市、ということで、ちょっと専門的な話になりますが、生産緑地の農地です。

法制度が変わり、生産緑地が第3者に貸借可能になった(もちろん農地として使うのが条件)のは昨年の話。
そして、この春、晴れて2人の新しい農家が多摩エリアの生産緑地で誕生しました。大原さんはそのうちの一人で、もう一人は日野市の川名桂さんです。

これまで生産緑地は、たとえば地主である農家さんが何らかの事情で農業を続けられたくなくなっても、農業を続けざるをえない、場合によっては営農しているように形式的にみせる必要がありました。
けれども、今後は近隣にモチベーションの高い農家さんがいたり、新規就農を目指す人がいれば農地を貸し出すことができます。これは都市農業にとって画期的な流れです。

生産緑地をより有効に活かしていくために、新規就農者ではなく、近隣の既存の農家さんに貸すケースももちろん広がっていくでしょう。私個人としても、基本的にはその方向性を歓迎しています。なぜなら、都市農業の1農家あたりの平均耕地面積はとても狭いわけで、それを広げていくのはとても意味のあることだからです。

ただ一方で、どんな組織、どんな業界であっても、新しい風が吹くこともまた大事です。
商店街も1軒の新しい店から急に息を吹き返した、なんていう事例もあります。
これまでの延長線上と異なる感覚の人が入ってくるからこそ、時代の新しい波へ対応できるということも起きます。

就農というのは起業の一形態であるからには、なにもしなければ、多産多死になってしまうでしょう。商店街に生まれた新しいお店に長く続かないケースがあるのと同じです。農業が他の産業と比べて簡単な商売ということはまったくない。作物が育つまで売上はゼロだし、むしろ難易度は高いです。
しかし、周囲のサポートがあれば成功確率はあがります。

私たちエマリコくにたち自身、多くの地域の方の支えのおかげでここまでやってきました。
都市農業における新規就農は、今後もいくつかケースが出てくるでしょうが、ぜひとも地域のみんなで支えていきたいと、そう思っています。

菱沼 勇介(ひしぬま ゆうすけ)
プロフィール

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株式会社エマリコくにたち代表取締役。
1982年12月27日生まれ。
農地のない街・神奈川県逗子市に育つ。
一橋大在学中に、国立市にて空き店舗を活かした商店街活性化活動に携わる。2005年に一橋大商学部卒業後、三井不動産、アビーム・コンサルティングを経て、国立に戻る。NPO法人地域自給くにたちの事務局長に就任し、「まちなか農業」と出会う。2011年、株式会社エマリコくにたちを創業。第3次国立市農業振興計画審議会委員(2016年)。

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